主夫ときどきプログラマ

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OSS Gate Workshop を開催するためにやったこと

先日 OSS GateWorkshop を懇意にしているスプーキーズという企業で社内向けに開催しました。 この記事では開催にあたり行った準備や参考にした情報などをまとめています。 OSS GateWorkshopに参加した人が、これから同じように社内向けに開催したり、 運営のメンバーになって進行役をやったりする時に役に立つと幸いです。

開催の様子についてはこちらを御覧ください。

labs.spookies.co.jp

筆者とOSS Gateとの関わり

私はOss Gate Workshopw@大坂(2017-02-25)にビギナーとして参加しました。 WorkshopでIssueを起票しOSS開発者の仲間入りをし、その後も継続してIssueの起票やPullRequestを行っています。 体験としてとても有意義なものとなったので、それをスプーキーズの勉強会にて発表しました。 ドキュメントをちょっと良くした程度のただのOSSの開発経験者です。 また、継続して交流を持つためにGitterに参加しています。

開催の日程

通常のWorkshopは5〜6時間のスケジュールで構成されています。 今回は社内向けの開催ということで就業後に自由参加で行っています。 そのため1度にそれだけの時間を確保するのは難しいため2回に分けて開催しました。

1日目では対象OSSを動かしてミニふりかえりを行ない、2日目ではそのOSSに対しフィードバックを行ないました。 タイムテーブルは以下のように構成しています。両日とも150分での構成です。

1日目

時刻 やること
19:00 開始
19:10 OSS Gate の紹介
19:20 アイスブレイク
19:35 OSS開発手順を説明
20:00 対象OSSを動かす
21:00 ミニふりかえり
21:30 終了

2日目

時刻 やること
19:00 開始
前回のおさらい
19:10 プロジェクトにフィードバックする
20:40 まとめ
20:50 アンケート記入
21:00 ワークショップのふりかえり
21:30 終了

進行するための準備

OSS Gate の目的を確認

OSS Gate を冠して開催するには本家の目的を理解しそれに沿った形で実施する必要があります。 これについてはオフィシャルサイトにOSS Gateへようこそ!というページがあるので熟読しました。 これにより自身の「Workshop楽しかったな、同じ思いをする人が増えるといいな」という思いも蘇ります。

過去のレポートを確認

Gitterで開催の旨を伝えたところこちらのレポートを紹介しもらいました。

oss-gate.github.io

同じように社内向けの開催でのレポートでした。こちらに目を通すことで全体の流れを再確認することができます。

進行の動画を確認

開催するためには自分が進行役を務める必要があります。 これが一番大変な部分ですし、成否がかかっているところでもあります。 なのでここに一番労力を使いました。

幸いYouTubeOss Gate Workshopw@大坂(2017-02-25)の動画が公開されています。 今回はこちらの進行を真似しました。

www.youtube.com

動画をしっかり見ることも大事ですが、原稿があったほうが安心なので話していることを文字に書き起こしました。 10分の動画を書き起こすのに約1時間かかりましたが、そのおかげで話す内容が頭に入った感じがします。

書き起こしたテキストはこちらにあります。

使用するリポジトリ

本家のリポジトリをWorkshop参加時にクローンしているのでそれを使いました。 本家同様にIssueを起票するとデフォルトで入力されているので同じように使えます。 Workshopのふりかえりではアンケートを実施しますが、その結果を本家のリポジトリPullRequestすることを想定していたので、それ用のブランチを用意しました。

使用するスライド

OSS Gate Workshopで使用するスライドは公開されておりいくつかの方法で利用できます。

当日の進行はGemのスライドで行ないました。こちらのようなGemfileを用意してインストールして使用しました。 状況に合わせてrabbit Slide Showのスライドも使用しています。

読んでおけばよかったもの

本家のリポジトリで用意されているシナリオには開催・進行するためのいろいろな情報がまとめられています。 これを見落としていたのはもったいないことでした。

メンバー構成

ビギナーに対してサポーターが少ない状況での開催となってしまいました。 1日目は何もわからない状態のビギナーにいろいろと作業をしてもらう必要があります。 そのためサポーターの対応が不十分なためうまくいかないこともありました。 それについては後述します。

一方2日目は全員に慣れた感じもありビギナー、サポーター共に楽しめたようです。 初参加のビギナーもいましたが、うまくサポートをして後追いで作業をしてもらえました。

1日目

  • 進行役(兼サポーター) 1名
  • サポーター 1名
  • ビギナー 6名

2日目

  • 進行役(兼サポーター) 1名
  • サポーター 1名
  • ビギナー(連続参加) 2名
  • ビギナー(初参加) 2名

Workshop のふりかえり

うまくいかなかったこと

OSS選定に時間がかかった、OSS選定がうまくいかなかたった

新卒社員のビギナーはまだOSSに馴染みが薄く「OSSってどんなもの?」という感じでした。 そのため選定に時間がかり、しかも動かしづらいOSSを選んでしまいました。 サポーターが少ないことが一因ではありますが事前に対策はできそうです。

ビギナーに合わせてサポートを優先的に行う

社内開催なので事前にだれにサポートが優先的に必要かが分かったように思います。

事前に OSS Gate の紹介だけを行う

事前に「対象OSSは何にしようかな」と考える時間を作ることもできそうです。

作業ログがうまく書けていない、少ない

通常のWorkshopのIssueとくらべて作業ログのコメント数が少なく感じました。 作業ログは多いほうが後のミニふりかえりがうまくいきやすいのでたくさん書いて欲しいです。 これも以下に対策。

デモの発表を充実させる

動画に倣い、ビギナーを指名して寸劇形式で作業ログの説明を行いましたが、うまくいきませんでした。 よく知っている間柄なので緊張感のないやりとりになり、うまく説明できません。 寸劇をするなら台本ありきでサポーターと演じたほうが良さそうです。 事前に伝えたいポイントを明確にしておかないと伝わらないと思いました。 下手な芝居よりきちんと説明を行ったほうが良かったです。

サポーターが少ない

アルバイトのメンバーがOSS開発者だったのでサポーターをしてもらえましたが、彼がいなければサポーター0名でした。 外部からサポーターを募っても良かったです。

座席がバラバラ

会議室などのスペースがないのでオフィススペースでの開催になりました。 そのためビギナーの横にサポーターが座るという体制は取れず、これもサポート不足の一因になっていたと思います。

途中で仕事をしてしまう

オフィススペースで行うと、周りには仕事中の人もいます。 プロジェクトの状態によってはWorkshopに集中できず仕事をしてしまう人もいました。 Workshopに集中できるように出来る限り隔離された空間で開催すべきだと思います。

仕事の都合で片方だけの参加になった

今回のケースでは1日目だけの参加者が不完全になってしまいました。 OSS開発参加へのハードルを下げることもできなかったような印象です。 一方で2日目だけの参加者はIssue起票までできたので、取り組みとしてはうまく行ったと思います。

社内開催なので今後はお互いにサポートしながらWorkshopの続きをできる可能性はありますが、本人たちの意志次第です。 事前に片方しか参加できないのが分かっているなら2日目を推したほうが良いかもしれません。

英語のサポートを強化したい

コミットメッセージの英語についてはこれとかこれのようなまとめがありますが、IssueやPullRequestの英語についてはあまりないようです。 人気リポジトリのIssueやPullRequestを巡回してまとめると人気者になれるチャンス!?

ビギナー同士のミニふりかえりは難しい

サポーターが少ないため、ミニふりかえりを1対1で行うことが難しいのは事前にわかっていました。 そこでビギナーをペアにしてそこにサポーターを付ける形でミニふりかえりを行いました。 サポーターがペアの1人とフィードバックポイントを探し、2人目はビギナー同士でフィードバックポイントを探す、というものです。 しかし、経験がないビギナー2人でフィードバックポイントを探すことは難しかったようです。

やはり最低限のサポートが必要だとわかりました。 なのでペアそれぞれのフィードバックポイントを1つずつ見つけるところまでをサポートし、それ以降はペアで議論しながらさらなるフィードバックポイントを見つける、という方法だとうまくいくかもしれません。 これは次回もチャレンジしたいことです。

うまくいったこと

普段とちがうコミュニケーションの形

サポーターがアルバイトメンバーということもあり、普段とは立場が逆転した光景がみられました。 アルバイトが役員に対しIssueの書き方をレクチャーするなど、新しいコミュニケーションが生まれていました。 後輩や新人が先輩をサポートする、というような光景は他の現場でも見られそうです。

社内のメンバーのことを知るきっかけの1つになった

OSSを選ぶところや作業ログの内容に個性がでるようで、普段とは違う面を見ることができました。 作業の合間の雑談で会話が弾んだりと、メンバー同士のことを知るいい機会になっていました。

継続したOSS開発参加ができそう

OSSの日」というのを定期的に開催して、継続してOSSへ貢献しようという話が出ました。 こういう話題も社内開催だから出るのかな、と思います。今後にも期待したいところです。

GitHubを使うよい機会になった

普段はGitLabを使って開発を行っているので、ほとんどGitHubを使ったことのないメンバーもいました。 そのためGitHubを使う良い機会にもなりましたし、GitHubの使いやすさを肌身に感じたようです。

OSSに対する意識の変化

OSS開発への敷居は下げられたと同時に、OSSのIssueやPullRequestを見てみようという意識の変化も起こったようです。 こういう変化も今後のOSS開発参加への継続性には影響しそうです。

OSS開発参加者が増えた

これが一番の結果ですね。

個人的な感想・反省

進行で伝えるべき内容はもれなく話せたと思いますが、スライドの内容を全然把握してなかったので、話とスライドがズレズレだったところはだめだったところです。 サポーターからのアンケートではちゃんと指摘してくれていました。 とはいえアンケートでは皆さん満足してもらえたようで、開催してよかったなと思います。こういうフィードバックがあるから勉強会やコミュニティの運営ってできるのかなと思いました。

今後について募集

今回は社内開催でしたが今後はオープンなWorkshopとして京都で継続的に開催したいと思っています。 会場の提供やサポーターの参加など協力してくれる方を募集しています。 今回と同じように社内開催をしてほしいというご相談もあれば賜ります。

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